スィートナボイス


 「はぁ〜、バス亭に並んでるのだけでも毎日がツライなぁ・・・」

 典型的な現代社会の疲れだな」

 「!」

 「君には休息が必要なようだ」

 「って・・・あなたはどなたですか?」

 「ワシか? ワシは指揮者

 指揮者さんですか。この際どなたでもいいです。僕の悩みを聞いて下さい」

 「うむ、少年よ!大志を抱け!

 「もう、社会人なのですけど」

 「そうか、しかし、おぬし。まだ人生は長いぞ!」

 「そうですよね。毎日、上司のいびりを聞いていたら体力が持ちませんよ・・・」

 「今を誠実に生きるんよ。おぬしには趣味のひとつやふたつはないのかね?」

 「・・・僕には趣味がなかったです。毎日毎日、会社と家への往復ですね」

 「そうか、ワシの作曲したCDを聴きなされ。癒されるぞよ」

 「癒されるんですか!」

 「そう、癒されるぞ!特別にプレゼントしてやろう。ほれ!

 「わぁ・・・ありがとう御座います!今日から早速聴きますね!」

 「ホッホッホッ、たやすいたやすいお安い」



 「今日も残業で長引いちゃったなぁ・・・」

 バス「ブロロロロー」

 「目の前で通り過ぎちゃったよ・・・この時間帯だとあと1時間も待たなくちゃいけないのか・・・早く家に帰ってこのCDを聴きたいというのに・・・ブツブツ」

 ???「グサ!」

 「痛たたたた・・・足踏まれちゃったよ」(ツイてねぇ・・・)

 「おや?御免あそばせ」

 (キレーなお姉さんだなぁ・・・)

 「んー?どうしたのボウヤ?私の顔に何かついてる?」

 「!? いえ、みとれてしまって、つい・・・」

 「ウフフ、可愛いボウヤね」

 ボ・・・ボウヤ、僕ってそんなに幼く見えますか?」

 「そぅね。声変わりしているのかわからないスィートなボイスが可愛いのよ」

 「学生の頃から、よく友人に言われてましたね。なんでって」

 「私より高い声じゃないかしら?」

 「そうですか〜?お姉さんのほうがお高いですよ〜」

 「ウフフ・・・お世辞もお上手なのね・・・」

 「いい匂いがして気品を感じます」

 「もっと言って・・・ボウヤ・・・」

 「いい匂いがして気品を感じます」

 「もっと!」

 「いい匂いがして気品を感じます」

 「もっともっと!!」

 「いい匂いがして気品を感じます」

 もっともっともっともっともっと!!!

 「いい匂いがして気品を感じます。いい匂いがして気品を感じます。いい匂いがして気品を感じます。いい匂いがして気品を感じます。いい匂いがして気品を感じます。」

 「ウフフ、ホントウに可愛いコね。今度、ウチのお店に遊びにきなさいよ♪」

 「え!お店やってるんですか!いいんですか!」

 「ウフフ・・・楽しいお店だから。ボウヤには大サービスしちゃうわ」

 「嬉しいなぁ・・・お店はどこにあるんですか?」

 「ハイ、お店の詳細な地図よ」

 「結構、わかりにくいところにあるんですね・・・」

 「迷わないようにね。気をつけて」

 バス「ブロロロロロー」

 「私はあのバスに乗るけど、ボウヤは同じ?」

 「僕は違うバスです。あと・・・30分待ちですから・・・」

 「そう、残念ね。お店で待ってるわ」

 バス「ブロロロロロー」

 「今日はいろんな出会いがあったなぁ・・・毎日がこんなんだといいけど」

→つづく?

→サトウさんを取り巻く日常です。
危険に満ちた生活を日々送っているのです。
よくわからないお話になったのは言うまでもなく^^;
ネコ?・・・さぁ?

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